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作品タイトル:Bijoux de magie〜赤い宝石の物語
日時: 2005/04/12 23:20
名前: しんへい  [フォントカラー/背景色:/]
背景画像: bak2-1.gif

【作品の紹介】






<DIV align="left">       人の心を支配する、赤い宝石。</DIV>
<DIV align="center">自然の秩序を捻じ曲げる、赤い宝石。</DIV>
                          世界を崩壊へと導く、赤い宝石―――――









<DIV align="left"><FONT face="MS P明朝">
 <RUBY><RB>Bijoux<RP>(<RT>ビジュー<RP>)</RUBY> <RUBY><RB>de<RP>(<RT>ド<RP>)</RUBY> <RUBY><RB>magie<RP>(<RT>マジー<RP>)</RUBY>は、美しい。

 血のような赤い輝きには、誰もが魅了されてしまう。

 <RUBY><RB>邪<RP>(<RT>よこし<RP>)</RUBY>まな欲のある人間は、決して、触れる事は許されない。

 もしそんな事があろうものなら、この世は乱れ、やがて崩れ去ってしまうだろう。

 私は、この宝石たちを眠りにつかせる。

 <RUBY><RB>Bijoux<RP>(<RT>ビジュー<RP>)</RUBY> <RUBY><RB>de<RP>(<RT>ド<RP>)</RUBY> <RUBY><RB>magie<RP>(<RT>マジー<RP>)</RUBY>は、美しい。

 だが、この世には、これが存在してはいけないのだ。

 赤い宝石。

 本当は、砕いてしまうのが一番なのだ。

 だが、壊してしまうには惜しい、美しい宝石。

 私でさえ、既にこの石に欲を掻き立てられている。

 だから、私は、この宝石たちを眠りにつかせる。

 かつてこの世を崩壊させた、赤い血の宝石たち。

 十個の<RUBY><RB>魔法の宝石<RP>(<RT>ビジュー・ド・マジー<RP>)</RUBY>を。
</FONT></DIV>


<DIV align="right">―――――『<RUBY><RB>William<RP>(<RT>ウィリアム<RP>)</RUBY> <RUBY><RB>Ursule<RP>(<RT>ユルシュル<RP>)</RUBY> <RUBY><RB>Renoir<RP>(<RT>ルノワール<RP>)</RUBY>の手記』より</DIV>










<DIV align="center"><Img src="./user-dir/55/logo_bijoux.gif" alt="ビジュー・ド・マジー"></DIV>






<TABLE border="0" align="center" bgcolor="#000000" width="100%">
<TBODY>
<TR>
<TD><FONT size="-1" color="#FFFFFF"><DIV align="center">














プロローグ
第1話
第2話
第3話



</DIV></FONT></TD>
</TR>
</TBODY>
</TABLE>


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メンテ
Page: [1] [2] [3]

ファイルNo.13
日時:
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背景画像: ousetusitu.jpg

<DIV align="left"><FONT color="#333333">



 「こちらです」



  神内は、天使を応接室まで連れて来た。

 両側の壁に扉がズラリと並んだ廊下の、比較的<RUBY><RB>奥<RP>(<RT>おく<RP>)</RUBY>の<RUBY><RB>方<RP>(<RT>ほう<RP>)</RUBY>まで歩いてきた。

 この<RUBY><RB>家<RP>(<RT>いえ<RP>)</RUBY>の応接室に入るのは初めてだったので、天使は少し緊張<RUBY><RB>気味<RP>(<RT>ぎみ<RP>)</RUBY>である。

 とりあえず、神内と何か<RUBY><RB>喋<RP>(<RT>しゃべ<RP>)</RUBY>って落ち着こうと思い、隣の部屋は何なのか聞いてみた。



 「こちらは、<RUBY><RB>待合<RP>(<RT>まちあい<RP>)</RUBY>室になっております」



 待合室が必要なほど客が来るのかと聞くと、そうではないらしい。

 ただ単に、空き部屋ができてしまったので、とりあえず待合室にしたというだけ、だそうだ。

 <RUBY><RB>改<RP>(<RT>あらた<RP>)</RUBY>めてこの家の凄さを痛感させられたが、緊張は少しほぐれた気がする。



 「さて、中で<RUBY><RB>奥様<RP>(<RT>おくさま<RP>)</RUBY>がお待ちです。 どうぞ、お入り下さい」



 では、と言うと、神内は、またホールの方へと戻っていった。





  長いソファーと、それに向かい合った赤い大きな<RUBY><RB>椅子<RP>(<RT>いす<RP>)</RUBY>が二つ。

 長い方のソファーの上には、高そうな<RUBY><RB>絵画<RP>(<RT>かいが<RP>)</RUBY>が飾られている。

 そこに座っていたのは、<RUBY><RB>頭上<RP>(<RT>ずじょう<RP>)</RUBY>の美術品なんかより<RUBY><RB>遥<RP>(<RT>はる<RP>)</RUBY>かに美しい、<RUBY><RB>金色<RP>(<RT>きんいろ<RP>)</RUBY>の髪の女性。

 <RUBY><RB>優美<RP>(<RT>ゆうび<RP>)</RUBY>な赤いドレス姿で、黒い<RUBY><RB>蝶<RP>(<RT>ちょう<RP>)</RUBY>のブローチをつけた、小さめのピンクのハットをかぶっている。

 その帽子から<RUBY><RB>垂<RP>(<RT>た<RP>)</RUBY>れた<RUBY><RB>絹<RP>(<RT>きぬ<RP>)</RUBY>のベールが、顔の左側を<RUBY><RB>覆<RP>(<RT>おお<RP>)</RUBY>い<RUBY><RB>隠<RP>(<RT>かく<RP>)</RUBY>しているが、それでも充分に<RUBY><RB>綺麗<RP>(<RT>きれい<RP>)</RUBY>な顔立ちがわかる。

 ブルーの透き通った<RUBY><RB>眼<RP>(<RT>まなこ<RP>)</RUBY>は、心の中まで<RUBY><RB>見透<RP>(<RT>みす<RP>)</RUBY>かしてしまいそうなほどに美しい。



 「あら、天使くん、ごきげんよう」



 見た目<RUBY><RB>通<RP>(<RT>どお<RP>)</RUBY>りのとても綺麗な声で、入ってきた天使に<RUBY><RB>微笑<RP>(<RT>ほほえ<RP>)</RUBY>みかけた。



 「あ、ど・・・どうも。 エリカ・・・さん」



 <RUBY><RB>異性<RP>(<RT>いせい<RP>)</RUBY>に関する事には全く興味の無い天使ですら、ハートをやられてしまいそうなこの女性。

 名は『エリカ=モリフォード=本願寺』。

 そう、彼女こそ、あのトモミの母親なのである。

 大きくカールした<RUBY><RB>もみあげ<RP>(<RT>・・・・<RP>)</RUBY>なんかは、たしかにトモミそっくりだ。

 エリカもやはり、普段のトモミのように<RUBY><RB>清楚<RP>(<RT>せいそ<RP>)</RUBY>で落ち着いた―――――



 「あらやだ、エリカ『さん』だなんて、他人行儀な! <B>『おばさん』でいいのよ、『おばさん』で!</B>」



 オホホホホ、と笑う。

 訂正しよう、たまに、清楚じゃないようだ。

 <RUBY><RB>年<RP>(<RT>とし<RP>)</RUBY>相応の性格というのが、必然的についてきているのかもしれない。



 「あ・・・は、はあ。 それじゃ、こ、こんにちは、<RUBY><RB>伯母<RP>(<RT>おば<RP>)</RUBY>さん・・・」



 こういうのも、<RUBY><RB>親譲<RP>(<RT>おやゆず<RP>)</RUBY>りなんだろうな、と、天使は<RUBY><RB>密<RP>(<RT>ひそ<RP>)</RUBY>かに思っていたが、

 この時トモミがくしゃみをしていた事など、彼は知る<RUBY><RB>由<RP>(<RT>よし<RP>)</RUBY>も無い。



 「わざわざ来てもらっちゃって、ごめんなさいね。 まあ、そちらに座って」



 そう言って、向かいの豪華な赤い椅子の方を示した。

 なんだか気が引けたが、ぎこちなくも、とりあえず言われた所に座った。

 それから、このままだと緊張しっぱなしになってしまいそうな気がしたので、先に口を<RUBY><RB>開<RP>(<RT>ひら<RP>)</RUBY>いてみた。



 「ええと、エ・・・じゃなくて、おばさん。 今日は一体、何のご用なんですか?」



 とりあえず<RUBY><RB>本題<RP>(<RT>ほんだい<RP>)</RUBY>へ、といった感じで聞くと、エリカは急に真剣な顔つきになった。

 そして、少し<RUBY><RB>前屈<RP>(<RT>まえかが<RP>)</RUBY>みになり、語り始めた。



 「<RUBY><RB>昨晩<RP>(<RT>さくばん<RP>)</RUBY>も言った通り、とても大切な話よ」



 天使が、ゴクリと<RUBY><RB>唾<RP>(<RT>つば<RP>)</RUBY>を飲み込む。

 <RUBY><RB>一息<RP>(<RT>ひといき<RP>)</RUBY>つくと、こう言い放った。










 <FONT size="5" color="#FF0000">「―――――トモミの命が狙われているの」</FONT>










 そんな言葉が出るとは思いもせず、自分の耳を<RUBY><RB>疑<RP>(<RT>うたが<RP>)</RUBY>った。

 天使が動揺しているのはわかっていたが、エリカは話を続けた。



 「ええ、信じられないでしょうけど、本当の事なのよ。 お願いだから、真剣に聞いてね」



 そう言われ、天使は戸惑いながらも、重く頷いた。



 「では、これから言う事は、<RUBY><RB>他言<RP>(<RT>たごん<RP>)</RUBY><RUBY><RB>無用<RP>(<RT>むよう<RP>)</RUBY>でお願いします」



 エリカは、天使が再び頷くのを待って、口を開いた。



 「正確に言うと、狙われているのは、トモミの持っている<RUBY><RB>赤いブローチ<RP>(<RT>・・・・・・<RP>)</RUBY>よ」



 「ブローチ・・・?」



 天使はトモミの姿を思い浮かべ、はっとした。

 そういえば彼女は、制服の上にいつも大きな赤いブローチを付けている。

 だが、それが何だと言うのか。



 「ここからが、本当に信じられないと思うけど、しっかり聞いて」



 天使は、この人がここまで真剣に話しているので、もう何を言われても信じようと思った。



 「あのブローチの、赤い宝石には・・・<B>魔法の力が封印されているの</B>」



 信じようと思ったのだが、突然『魔法』とか言われるのは、やはりそれには<RUBY><RB>堪<RP>(<RT>こた<RP>)</RUBY>える。

 一体、この人は、何を言っているのだろうか。

 こちらがそんな事を考えているのはお見通しらしく、エリカは少し<RUBY><RB>苦<RP>(<RT>にが<RP>)</RUBY>い顔をしている。

 だが、何も言わず、話を続ける。



 「お願い・・・信じて。 これは、本当の話なの。 その魔力はとてつもなく強大なもので、

  やろうと思えば、世界を<RUBY><RB>支配<RP>(<RT>しはい<RP>)</RUBY>してしまうことだってできる」



 こういうのは俺の役割じゃないだろ、と思ってしまうほど、<RUBY><RB>突拍子<RP>(<RT>とっぴょうし<RP>)</RUBY>も無い言葉ばかり出てくる。

 この時、今度はみな実がくしゃみをしていた事、当然ながら彼は知らない。

 かと言って、こちらから何か言い出せるような空気ではないので、黙って聞くしかない。



 「もちろん、赤い宝石の魔力にまつわる話は、表の世界には<RUBY><RB>殆<RP>(<RT>ほとん<RP>)</RUBY>ど知られていないのが現状よ。

  ええ、そんなことになってみなさい、本当に大変な事になってしまうのだから」



 淡々と語り続けるエリカ。

 何だか天使も、信じざるを得ないような空気になってきた。

 もう一度落ち着いて考えてみれば、魔法だかなんだか知らないが、わざわざ人をからかうための作り話を

 するために、家まで招待するなんてのも、馬鹿な話だと思ったからだ。



 「それでも、裏の世界の人間が聞きつけて、いつ奪いに来るかわからない。

  現に最近、家の周りに怪しい奴がうろつくようになったわ」



 天使は、真剣に聞き入れるようにしていたが、やはり<RUBY><RB>依然<RP>(<RT>いぜん<RP>)</RUBY>として<RUBY><RB>半信<RP>(<RT>はんしん<RP>)</RUBY><RUBY><RB>半疑<RP>(<RT>はんぎ<RP>)</RUBY>である。

 そもそも、何故トモミがそんな<RUBY><RB>奇怪<RP>(<RT>きっかい<RP>)</RUBY>なものを持っているのだろうか。

 色々と気になる事はあるが、とてもじゃないが割り入って質問ができるような雰囲気ではない。

 聞きたい事は、話をすべて聞き終えてから、<RUBY><RB>尋<RP>(<RT>たず<RP>)</RUBY>ねる事にした。



 「そこで、天使くんにお願いがあるの」



 と、エリカが少し<RUBY><RB>詰<RP>(<RT>つ<RP>)</RUBY>め<RUBY><RB>寄<RP>(<RT>よ<RP>)</RUBY>ってきた。



 「学校にいる間、あの<RUBY><RB>娘<RP>(<RT>こ<RP>)</RUBY>を一人にさせないでちょうだい」



 他の生徒の混乱を<RUBY><RB>招<RP>(<RT>まね<RP>)</RUBY>き<RUBY><RB>兼<RP>(<RT>か<RP>)</RUBY>ねないので、学校内にボディーガードを連れて行くわけにもいかない。

 かと言って、こんな事を依頼できるのは、教師でかつ<RUBY><RB>親戚<RP>(<RT>しんせき<RP>)</RUBY>の天使しかいなかった、というわけだ。

 ようやく話が<RUBY><RB>一段落<RP>(<RT>ひとだんらく<RP>)</RUBY>したところで、魔力とかはともかく、特に気になった点を尋ねてみる。

 「じゃあ何故、その宝石を家で保管しないのか」という疑問をぶつけようとした。

 だって、宝石のせいでトモミが狙われているのだったら、そうすれば済む事ではないか。

 天使が口を開きかけた、その時だった。







 (ガチャ)







 「!?」



 ノックもせずに、突然、ゆっくりと扉を<RUBY><RB>開<RP>(<RT>あ<RP>)</RUBY>けた誰か。

 その誰かは、メガネ<RUBY><RB>越<RP>(<RT>ご<RP>)</RUBY>しに、恐ろしい目つきで、睨んでいる。

 右手に持った銃の<RUBY><RB>口<RP>(<RT>くち<RP>)</RUBY>は冷たく光り、持ち主の<RUBY><RB>眼<RP>(<RT>め<RP>)</RUBY>と同じように、じっとこちらを向いている。



 「・・・・・見つけた」



 ああ、これは一体、どういう事だ。

 なんで、彼女が、あんな<RUBY><RB>物騒<RP>(<RT>ぶっそう<RP>)</RUBY>な。

 さっきの話といい、信じられない、いや、これは夢なのか。







 <B>「愛理ちゃん!!?」</B>







 驚きのあまり、思わず叫んでしまった天使。

 そう、銃を持ち、じっと、立っているのは、愛理。

 あの、<RUBY><RB>大人<RP>(<RT>おとな<RP>)</RUBY>しくて、内気な、鈴木愛理。

 クスッと笑うと、愛理は、いつも通り、<RUBY><RB>可愛<RP>(<RT>かわい<RP>)</RUBY>らしく、こう言った。



 「天使先生、名前を呼んで下さって、どうも。 でも、私の名前は、『鈴木愛理』ではございません」



 愛理、いや、銃を持った誰かは、<RUBY><RB>不気味<RP>(<RT>ぶきみ<RP>)</RUBY>に微笑む。

 それは、確実に、エリカの心臓を見つめている。

 恐ろしい眼光も、冷たい銃口も。










 <FONT size="5" color="#FF0000">「我が名は、『<RUBY><RB>Eliot<RP>(<RT>エリオット<RP>)</RUBY> <RUBY><RB>Stannum<RP>(<RT>スタナム<RP>)</RUBY> <RUBY><RB>Renoir<RP>(<RT>ルノワール<RP>)</RUBY>』。 裏切り者を、抹殺するッ!!」</FONT>




</FONT></DIV>
メンテ
No.13の場面展開(ファイルNo.14)
日時: 2005/04/11 19:19
BGMファイル:mid/rain01.mp3=mid/0.mid=bgm/robo.mid [スタート=100=200=1170/エンド=] [フォントカラー/背景色:/]
背景画像: heya_k.jpg

<DIV align="left">




  美しいカーテンで飾られた、大きな窓。

 豪華な壁紙、やわらかそうなソファー。

 そんなものは、今はどうでもいい。

 何事かと、その様子を覗いた全員が、鮎川の背中越しに見える場景を、目を丸くして見ている。

 ガラスは割れ、飛び散った破片の上に、雨粒が無作為に降りかかっている。

 床の濡れた跡を目で追っていくと、一際目立った、幅のある広いベッド。

 黒いコートに身を包んだ男が、じっと、下を向いて腰掛けている。

 その背後にある、巨大な黒の包み。



 「どなたか存じませんが、玄関からお入り下さい。 非常識だと、思いませんでしたか?」



 いつも通り、冷静な鮎川。

 だが、警戒を解くはずもなく、目ではしっかりと、その男を見据えている。

 この大豪邸のセキュリティを欺いたのだから、ただ者では無い。

 濡れた茶髪を立て直しながら、口を開く。



 「おっと・・・こりゃあ、すまねえ。 いや、大した用事じゃないんだが・・・」



 男は、ゆっくりと顔を上げた。





 <B>「セントルは何処だ」</B>





 乾ききらず、まだ垂れている前髪から覗かせた眼で、こちらを睨みつける。

 よく見ると意外に若い男は、ちょうど二十歳くらいに思われる。

 『セントル』と聞いて、鮎川は一瞬、はっとした。

 トモミに、隠れているよう、合図しようとした。

 だが、男は、その細かな動作を見逃さなかった。



 「・・・・・ああ、<RUBY><RB>そこ<RP>(<RT>・・<RP>)</RUBY>か」



 と、黒いワンピースの少女を見て、ニヤリと笑う。

 いや、この男が見つめているのは、少女の胸に輝く、美しい、赤いブローチ。

 それを見つけた男は、ゆっくりと立ち上がり、ベッドに乗せた大きな黒い何かを手に取った。



 「お嬢様、<RUBY><RB>あの扇<RP>(<RT>・・・<RP>)</RUBY>を・・・今一度、私に貸して下さい」



 鮎川は腰を低くすると、前を向いたまま、後ろのトモミの方へ、両腕をやった。

 状況が、全く理解できない。

 みな実は当然ながら、ビキ子や鈴も、緊迫した空気に、驚くと言うよりもかなり怯えている。

 とにかく、今、この状況を脱する事が可能なのは、鮎川のみだ。

 数多くの格闘術を心得ている彼女なら、頼りになる。

 トモミは一瞬だけ戸惑ったが、鮎川がこちらを見てはいない事をわかっていながらも、深く頷いた。

 スカートの裾をめくると、両脚のガーターベルトにくくりつけた、二つの扇子をパチンと取り外した。

 突き出された両手にそっと置くと、鮎川はちらとこちらを見て、どうも、と言った。



 「ああ、残念。 そちらさん、やる気か」



 そう言って、包みの先の方に右手を入れると、黒いシートを勢いよく剥ぎ捨てた。

 中から現れたのは、巨大な鞘に収められた、剣。

 男がゆっくりと、引き抜くと―――鋭い刃の形は、まるで、巨大なハサミだ。

 二つの大きな穴の間、中心の柄を握る形となり、右腕を伸ばし、下向きにかざしている。

 巨大な刃の表面には、ハサミのように二筋の線が見られるが、それと違うのは、その外側も鋭いことだ。

 留めネジと思しき部分には、大きなプラスドライバーが無ければ外せないであろう、そのネジ穴に、

 十字型の赤い宝石が、ぴったりとはめ込んである。



 「大人しく、そいつを渡してくれれば・・・手は出さねぇつもりだったのによ」



 刃先を、対峙する鮎川、その後ろの、トモミに向ける。



 「皆様、一歩さがって、お待ち下さい」



 両腕を広げ、それと同時に、二つの扇子をばっと開く。

 妖しく光る漆黒の扇、先端を白く輝かせ、少しでも触れようものなら、たちまち切り裂かれてしまうだろう。

 それだから、中心に描かれている、可愛らしいイチゴのマークは、ものすごく目立つ。



 <B>「3分で、終わらせます」</B>



 いつでも飛び出せるよう、体勢を低めに保っている。

 それでも、凛として言い放った。



 「ほぉ・・・そいつはスゲェな」



 空いていた左手を、柄に掛ける。



 「悪いけどよ、俺は相手が女だろうが―――」



 男は、鮎川を睨むと、グッと構えた。







 <FONT color="#FFFF00" size="5">「手加減はしねぇぞッ!!」</FONT>






</DIV>
メンテ
ファイルNo.15
日時: 2005/04/15 00:54
BGMファイル:bgm/robo.mid=mid/0.mid=mid/bom34.wav=mid/0.mid=bgm/robo.mid=mid/0.mid=mid/freeze07.wav [スタート=350=1020=1120=1250=1400=4400=4550/エンド=] [フォントカラー/背景色:/]
背景画像: ousetusitu.jpg

<DIV align="left"><FONT color="#333333">



  銃身の上部は、黒い蝶の描かれた白色の金属製カバーで覆われている。

 冷たい黒色はオーソドックスな自動拳銃にも見えるが、シリンダーが露になっている様子を

 見ると、歴とした<RUBY><RB>回転式拳銃<RP>(<RT>リボルバー<RP>)</RUBY>である事がわかる。

 トリガーの前、下に飛び出た赤いリングが一際目立つ。

 更に注目すべきは、ハンマーの上部、リアサイトにあたる部分に、赤く輝く三角形の宝石が

 埋め込まれているのだが、果たしてこれは、何に使うものなのだろうか。

 エリカ=モリフォード=本願寺は、この銃を、知っている。

 この鋭く、冷たい銃口を、よく知っている。

 よく知っているからこそ、それが目の前にあるのが、信じられない。

 そして、彼女にとって今、最も重要な事は、愛理の口から出た、その名前である。





 「ルノワール・・・ですって・・・?」





 すっと立ち上がると、愛理の方をじっと見つめる。

 表に出ている片側のみではあるが、大きく眼を見開き、非常に驚いている。

 いや、寧ろ彼女は、焦っているようにも見える。



 「フフ・・・そうよ。 あなたが、私のお母様やお爺様を裏切って、捨てた名―――」



 それまで、不敵ながらも笑みの表情が見られた愛理の顔から、それが消えた。



 「そうでしょ? 裏切り者の、<B><RUBY><RB>エリカおばさま<RP>(<RT>・・・・・・・<RP>)</RUBY></B>」



 そう言うと彼女は、汚らわしい、と言わんばかりに、ペッと吐き捨てた。

 愛理、いやエリオットに自らの名を呼ばれ、エリカははっとした。





 「もしかして、あなた―――<B>シビルの娘ね?</B>」







 <FONT size="5" color="#FF0000"><B>(パァンッ)</B></FONT>







 銃弾は、エリカの左頬を掠め、後ろの壁に穴を開けた。

 違う、銃声に反応し、僅かに立ち位置をずらして、避けたのだ。



 <B>「・・・お母様の名を、気安く呼ぶなッ!!」</B>



 初めて感情的になり、激怒したエリオット。

 立て続けに四発、息をつく間も無く、打ち込む。

 しかしエリカは、驚くほど軽い身のこなしで、全て躱してしまった。

 一発はソファーに穴を開け、残りは最初の一発と同じように、奥の壁に当たった。

 その様子を黙って見ている天使は、深く座った椅子から、腰が上がらない。

 エリオットは、チッと舌打ちすると、親指でハンマーを圧迫し、ゆっくりとシリンダーを回す。



 「ええ、それが、最後の一発のようね」



 相手の表情に焦りを察知したのか、エリカが淡々と言い放った。



 「この際だから、落ち着いて話しましょう。 そうすれば、悪いようにはしないわ」



 エリオットは、唇をぎゅっと噛み締め、銃口を標的から離さないでいる。



 「あなた、もしかして・・・・・宝石が、目的ではないの?」



 銃を向けられながらも、冷静に、質問している。

 先ほどの動きといい、この人は、こういった状況に慣れているらしい。



 「宝石・・・? 何を言っている。 私は、裏切り者を始末しに来ただけだッ!」



 眉根を寄せて、エリカを思い切り睨みつける。

 前髪が影をつくり、黄色い眼光が、より恐ろしく見えた。



 「そう・・・やっぱり。 <RUBY><RB>あの女<RP>(<RT>・・・<RP>)</RUBY>、自分の娘にまで、こんな・・・」



 呟いたその眼は、それと対峙する眼光よりも、威圧感を放っている。

 エリオットは、思わず一歩、後退りした。

 それから数秒の空白を経て、エリカの表情は、無表情なものに戻った。



 「あなた、私の事を『裏切り者』と言ったけど―――それは作り話よ」



 エリオットは、再び銃弾を放った。

 だが、エリカはあっさりと、躱してしまう。



 「作り話だとッ!? お母様が、嘘をついているとでも言うの!!?」



 この後に及んで、強気な態度のエリオット。

 だが、もはや彼女の銃には、弾は一つも入っていない。

 懐から取り出すなど、エリカの動きを見れば、許しては貰えないだろう。



 「ええ、まあ、そういう事になるわね。 差し詰め、あの宝石を奪うための捨て駒。

  あなたは、<B>自分の母親に利用されているのよ</B>」



 エリオットは動揺し、また一歩、後退りした。

 何も出来ず、ただ二人を、交互に見ているだけの天使。

 エリカのさりげない気遣いか、大丈夫、とそちらに右手をやった。



 「ふざけるな・・・私が捨て駒だと!? 私は今まで、お母様の為だけに働いてきた!!

  <B>お母様の為なら、騙しも、盗みも、人殺しだって、喜んでした!!</B>」



 エリオットの叫びを、黙って聞くエリカ。

 なんだか、悲しそうな表情をしている。



 「貧しかった貴様を拾ってやった寛大なお祖父様を、感謝の気持ちなど欠片も無く殺し、

  財産の一部を奪って逃げた。 その上、今は優雅に日本で生活している。

  卑劣な裏切り者『<RUBY><RB>Erica<RP>(<RT>エリカ<RP>)</RUBY> <RUBY><RB>Moriford<RP>(<RT>モリフォード<RP>)</RUBY> <RUBY><RB>Renoir<RP>(<RT>ルノワール<RP>)</RUBY>』を抹殺するのが、今回の私の使命だ!!」



 そう言うと、彼女は、なんと再び、シリンダーを回す。

 既に六発の弾丸は、全て使い果たしている筈だ。



 「違うわ! そんなの、でっちあげよ・・・お義父様を殺したのは、私じゃない!!」



 「黙れ」



 冷たく、一言を放つ。



 「裏切り者の言う事など、信じるものか」



 そう言うと、エリオットは、少し表情を緩めた。



 「残念だけど・・・今回は、分が悪かったようだわ。 お暇させて頂きますね」



 エリオット、いや、愛理は、にこりと笑う。

 だが、すぐさま、恐ろしい表情に戻った。



 「今度は、左眼だけでは済まさない―――<B>必ず、この銃で貴様を殺す</B>」



 すると、銃を大きく、上にかざした。



 <B>「待って、エリオット! あなたは、シビルに騙されて―――」</B>



 「ごきげんよう・・・また会いましょう」



 引き金を引いた瞬間、部屋中に強い光が溢れる。

 閃光弾、というやつだ。

 なんと、彼女の銃のシリンダーには、七発の弾丸が入っていた。

 エリカは思わず閉じてしまった目を開けると、そこには、既に愛理の姿は無かった。




</FONT></DIV>
メンテ
No.15の場面展開(ファイルNo.16)
日時: 2005/04/11 20:51
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背景画像: heya_k.jpg

<DIV align="left">









 <FONT size="5" color="#FFFF00"><B>(ブォンッ!)</B></FONT>







 「チィッ・・・!!」





  男は、その大きな剣を軽々と振り回して、何度も攻撃を仕掛ける。

 大きな斬り付けに素早く反応、見事な股開きで体勢を低くする鮎川。

 流れるような動きで、相手の攻撃を全てひらりと躱してしまう。

 だが、何度かギリギリで掠ったようで、服がところどころ破けている。

 大剣の男は、斬撃を止めると、一旦ベッドの方へ飛び退いた。

 扉の外では、トモミ達が、固唾を飲んで見守っている。

 最初の内は全員驚きの連続だったが、この状況に、慣れてきたらしい。



 「・・・・・少しは、やるようですね」



 お互い体勢を立て直し、再び向き合う。

 睨み合う両者は、二人とも、全く息を切らしていない。

 やはりこの緊迫した空気の中、扇のイチゴマークには、かなり違和感がある。



 「俺の攻撃が当たらねぇとは・・・テメー、何者だ?」



 「それはこっちの台詞です」



 いつもと変わらぬ表情で、冷ややかに言葉を返す。



 「ヘッ・・・それもそうだな。 名前なら・・・テメーが俺に勝てたら教えてやるよ。

  まあ、俺が勝ってもテメーに名前を訊く気は無ェ」



 すると男は、剣を地面に突き立てた。

 中心の柄を離すと、今度は、その両側の柱を、両手でぐっと掴んだ。



 「・・・・・?」



 鮎川は警戒し、片手のみ前に突き出して、腰を落としす。



 「いや・・・訊く気は無ェのも確かだが、『訊けない』っつった方が、いいな。 だってよ・・・・・」










 <B>(ジャキィンッ)</B>










 <FONT size="5" color="#FFFF00">「死体は、話さねェだろッ!!」</FONT>










 巨大なハサミを両手で勢いよく開き、飛び込んできた。





 「・・・ッ!?」





 <FONT size="6" color="#FF0000">「死ねェェェッ!!!」</FONT>





 意表を突かれた鮎川は、反応が遅れてしまった。

 巨大な刃が、根元から彼女を包囲する。

 トモミ達も思わず、ばっと目を伏せ、叫んだ。

 鮎川の体が、真っ二つに―――――









 <FONT color="#FFFF55"><B>(♪ターッター ターッター ターッター)</B></FONT>










 「チッ・・・いい所で・・・!!」



 鮎川の体を真っ二つに裂こうとしていた刃が、その目の前で地面に落ちた。

 男は、右手でコートのポケットを探ると、赤い携帯電話を取り出す。





 (ピッ)





 「テメェ、ふざけんなよアルベド!! 今いいトコ・・・・・あ゙?! ・・・何だと?」



 無防備で電話している男を、焦った表情のまま、硬直して見ている鮎川。

 彼女でも、さっきのピンチはさすがに堪えたらしい。



 「ディアマンが・・・そうか、仕方ねェな。 わかった、すぐ戻る・・・」



 通話を終えると、電話をポケットにしまう。

 すると再び、右手を空いていた方の柄に戻した。

 鮎川は一歩さがると、相手から目を離さないよう、じっと構える。

 しかし、なんと男は、ハサミを閉じると、その大きな鞘を拾い上げ、刃を収めた。



 「悪ィな、今回はお預けだ」



 そう言って、大剣を黒いシートで包みながら、窓の方へ歩いていく。

 罠かもしれない、と、鮎川は追わず、その場で様子を見ていた。



 「めんどくせーから、名前だけ教えといてやる」



 剣を背負った男は、割れた窓の前に立ち、振り返らずに言った。



 「俺はロイド・・・自分が認めた奴にしか、名乗ってねェ」



 窓の枠を掴み、足を掛ける。



 「セントルの事もあるが・・・テメーとは、決着をつけなきゃなんねェ」



 外の雨が、あるがまま、顔に吹き付けている。





 「また来る。 ・・・じゃあなッ」





 次の瞬間、『ロイド』と名乗った男は、豪雨の中に姿を消した。

 鮎川は窓辺に駆け寄り、下を覗き込んだ。

 黒いロングコートは、どこにも見当たらない。

 一部始終を見ていたトモミ達も、ここで初めて部屋に入り、鮎川に歩み寄る。



 「鮎川・・・」



 激しい雨音だけが響き渡る中、トモミは、ゆっくりと口を開いた。



 「あの男は・・・何者なの? <B>『セントル』というのは、一体何の事なの?</B>」



 不安そうな表情で、聞いた。

 じっと、窓の外を見ていた、鮎川。

 彼女は、今の事を、ふと思い返してみた。

 何か、引っ掛かる事があるのだ。

 そう、何か、そうだ、あの男の持っていた、剣の―――――















 <FONT size="6" color="#FF0000"> <RUBY><RB>黒い蝶の紋章<RP>(<RT>・・・・・・<RP>)</RUBY>。</FONT>















 少しの沈黙を破り、トモミの方を向いた。



 「お嬢様―――奥様の所へ参りましょう。 全ての事情は、そちらでお話し致します」



 鮎川は、全員に合図すると、扉の方へ歩いて行った。

 トモミの胸の赤い宝石は、少しの雨粒を受け、美しい光を放っていた。










<TABLE border="0" width="100%" align="center" bgcolor="#000000"><TBODY><TR><TD>
<DIV align="center"><FONT size="2" color="#FFFF00">ル・プルミエ・ビジュー 〜扇使いと黒い蝶〜 終わり</FONT></DIV>
</TD></TR></TBODY></TABLE>




</DIV>
メンテ
ファイルNo.17
日時: 2005/04/09 23:13 [フォントカラー/背景色:/]

<DIV align="left">


<TABLE bgcolor="#000000" align="center" width="100%"><TBODY><TR><TD><DIV align="center">


<TABLE bgcolor="#FFFFFF" border="0" align="center" width="100%"><TBODY><TR><TD><DIV align="center"><FONT size="5" color="#FF0000">Le deuxi<Img src="./user-dir/55/e.GIF">me bijou
<EMBED SRC="mid/jing_3.wav" HEIGHT="0" WIDTH="0" PANEL="0" AUTOSTART="TRUE" REPEAT="FALSE" LOOP="FALSE" TYPE="audio/midi" SAVE="TRUE">
<FONT color="#0000FF" size="3">〜暗躍する魔石〜</FONT></FONT></DIV></TD></TR></TBODY></TABLE></TD></TR></TBODY></TABLE></DIV>
メンテ
No.17の場面展開(ファイルNo.18)
日時: 2005/04/13 18:58
BGMファイル:bgm/osoru.mid [スタート=10/エンド=] [フォントカラー/背景色:/]

<DIV align="center">
















 エリカ=モリフォード=ルノワール。

 私のお祖父様が付けた、名。







 あの女は、生まれてすぐ、実の親に捨てられた。

 盗みを繰り返し、浮浪していたことろを、お祖父様が拾ったの。

 なんでって、それは、お祖父様の心が寛大だったからよ。

 あまりに、哀れだったのでしょう。





 あの女は、お祖父様の下で、何不自由なく育った。

 私のお母様も、義理の妹を、快く受け入れた。

 でも、あの女は、ずる賢い頭で、ずっと、狙っていたのよ。

 お祖父様の財産を盗んで、逃げる機会を。





 そしたら、あの女、ついにやってくれた。

 計画がばれたからって、お祖父様を殺したのよ。

 その夜、あいつは、金庫の中身をごっそり持って、逃げ出した。

 なんて、卑怯で、恩知らずな女。

 そんな事まで、する必要、無かったのに。





 お母様は、お祖父様の部屋から、銃を持ってきたわ。

 そして、あの女を、追った。

 ずる賢い女は、巧妙に逃げたけど、それでも、追った。

 一晩で、あの女を追い詰めた。

 お母様は、迷わず撃ったわ。

 そしたら、あの女は、左眼から血を流して、激流に落ちていった。





 殺したと、思った。

 財産は、戻らなかった。

 けど、ほんの一部だったし、別によかった。

 お母様は、その手で、お祖父様の仇を討ったのだから。





 そしたら、あの女は、生きていたの。

 しかも、日本で、悠々と暮らしていた。

 卑怯な女は、玉の輿に乗って、ご満悦。

 どうせまた、逃げ出すつもりよ。










 すべて、お母様が教えて下さったこと。

 私が小さい頃から、何度も話して下さったこと。










 お母様のおっしゃる事は、正しいの。

 それを、嘘つきだなんて、あの女。

 裏切り者の言う事なんて、信じない。

 ねえ、そうでしょ、お母様?





 お母様のなさる事は、正しいの。

 たとえそれが、犯罪でも、同じ。

 だって、すべては、裏切り者を始末する為だもの。

 ねえ、そうでしょ、お母様?










 私は、あの女を殺す。

 殺す事に、躊躇いは無い。

 手なら、とっくに血で汚れている。

 お母様に、殺しの訓練を受けてきたから。



 私は、あの女を殺す。

 ルノワールの家紋、黒い蝶の印に懸けて。

 お母様に頂いた、この銃で、必ず。

 お守りの、赤い宝石が入った、お祖父様の銃。















 <FONT face="MS P明朝" color="#FF0000" size="6">『<RUBY><RB>蜂閃火<RP>(<RT>ほうせんか<RP>)</RUBY>』</FONT>








</DIV>
メンテ
ファイルNo.19
日時: 2005/04/15 00:54
BGMファイル:bgm/crunch.mid=mid/0.mid=mid/bom13.wav [スタート=410=1660=1870/エンド=] [フォントカラー/背景色:/]
背景画像: bak43-3.gif

<DIV align="center">





  広い空間は、それとは正反対に、静寂に満ちている。

 照明は完全配備され、客席には、軽く5万人は入るであろう。

 楕円形の巨大な競技場は、冷たい灰色のフェンスがところどころ血で汚れている。

 そのフィールドのあちこちに、人間のものと思しき骨が、無造作に転がっていた。

 吹き抜けのスタジアムの真ん中で、二人の男が、じっと向き合っている。

 黒いジャケットを脱ぎ捨て、構えに入る。

 指の骨をパキパキ鳴らし、肩慣らし、といったところか。

 するともう一人は、黒色のロングコートの中に、そっと手を入れた。

 懐から取り出した鞭は、使い慣れた彼の武器。

 しんへいの一言が、試合開始の合図となった。



 <B>「行くぜぇッ!!」</B>



 (ヒュッ)



 顔の横から向かってくるムチを、素早くしゃがんで避ける。

 その勢いで、相手の懐に転がり込むアドバン。

 鞭は伸びきって、しんへいの足下は、がら空きだ。



 「!?」



 「喰らえッ!!」



 低い体勢から回転し、足払い。

 しんへいは、バランスを崩し、踏み込みを外した。

 倒れかけた相手に、もう一方の脚で追い打ちをかける。



 「フン・・・遅いっ!」



 (シュルッ)



 ゴムのように手元に戻ってきた鞭が、そのままアドバンの左脚に巻き付いた。



 「くッ・・・!!」



 身動きが取れず焦る相手に、ニヤリと笑いかける。



 <B>「オラァッ!!!」</B>



 遠くのフェンスに向かって、思い切り鞭を振る。

 アドバンは何もできず、勢いよく投げ飛ばされてしまった。

 弾丸のごとくスピンしながら、壁に一直線。

 空中で回転し、何とか体勢を整える。

 脚から壁に着地して、衝撃を吸収するつもりだ。

 しかし、この速さでは、それに間に合わない。





 <B>「くそおおおおっ!!!」</B>










 <FONT size="6" color="#FFAA00"><B>(ズゴォォォォン!!!!!)</B></FONT>










 広い競技場内に、大きな爆音が響き渡った。




</DIV>
メンテ
No.19の場面展開(ファイルNo.20)
日時: 2005/04/15 00:51
BGMファイル:bgm/yokoku.mid=bgm/music1.mid=bgm/ohiru.mid [スタート=10=800=2400/エンド=] [フォントカラー/背景色:/]
背景画像: sinsituyoru.jpg

<DIV align="left"><FONT color="#333333"><TABLE border="0" align="center" width="100%" background="bg/FreeArt3.gif"><TBODY><TR><TD><FONT color="#FFFFFF"><DIV align="center">
















 しんへいの猛攻に、怯む事なく立ち向かうアドバン。

 その実力は、ほぼ互角と思われた。

 しかし、しんへいの能力で、四次元空間が発動。

 そこでの実力の差は、圧倒的なものだった。

 もはやしんへいの独壇場と化した空間で、苦戦するアドバン。

 窮地に追い込まれた男は、遂にその、恐るべき能力を発動させる!

 次回、センス・オブ・ジャスティス

 『紅い眼の悪魔』

 <B>戦え、正義の名のもとに!!</B>










</DIV></FONT></TD></TR></TBODY></TABLE>










 「キャーッ!! 次回が楽しみね!」



  ベッドに乗っかって、リモコンを持ってはしゃいでいるビキ子。



 「はぁ・・・」



 隣のベッドに腰掛けていたみな実は、呆れてため息をついた。

 今は、ちょうど夜の七時半。

 つい一時間前、あんな事があったなんて、信じられない。

 特に、ビキ子といる場合、そう思うのも仕方が無いだろう。

 突如現れた黒ずくめの男、その後、魔法の石だか何だかの話を聞かされて。

 その上、相棒がこんなだし、みな実はもう、頭が爆発してしまいそうだ。



 「あのねぇ・・・ビキ子。 アンタこの状況で、よくテレビなんて見てられるわね・・・」



 「えっ? もう見てないよ?」



 真っ黒なテレビの画面を、左手のリモコンで示す。



 「いや、そういう問題じゃなくて・・・。 まったく・・・」



 ビキ子の天然さは、どんな状況でも変わらないらしい。

 みな実は、こうやって毎日、呆れっぱなしなのだ。

 しかし、ちょっと気になっていた事があったので、聞いてみた。



 「あの・・・さ。 さっきの・・・何ていうアニメだっけ?」



 「ええっ!? みな実ちゃん、『センス・オブ・ジャスティス』知らなかったの!!?

  『S☆J』と言えば今、子供から大人まで、大人気のアクション超大作だよ!!」



 よほど驚いた様子で、話し出すビキ子。

 何でもその原作が、読者の考えたキャラクターのみで構成された、斬新な作品らしい。

 作者の『アロハー』という人物は、この漫画の連載で、多くの人々の注目を集めていて、

 そのストーリーにも、自身のキャラクターが登場している。

 ビキ子も投稿したそうだが、残念ながら、落選してしまったと言う。

 みな実も、なんだかんだ言って、この『S☆J』にハマったらしい。



 「へぇー・・・。 私も、これから毎週みてみようかな・・・」



 「ホント!? じゃあ私、マンガ持ってるから、貸してあげるよ!」



 ビキ子曰く、ロイドとかいう男、携帯の着信メロディがS☆Jだったらしい。

 どこまで人気なのだ、センス・オブ・ジャスティス。

 そうやって、二人が漫画談議に花を咲かせていたところへ、

 奥のお風呂場の方から、バスタオルを巻いた鮎川が現れた。



 「お二人とも、シャワーは浴びられましたよね」



 見た目こそ違うものの、話し方や、きっちりした姿勢は、いつもの鮎川だ。

 二人が頷くと、彼女は、申し訳無さそうに言った。



 「すみません・・・質素な部屋で」



 怪しい人間が、まだ潜んでいるかもしれない。

 そんなわけで、先ほど案内した客室は使わず、メイド達の部屋で寝ることになったのだ。

 一人部屋にも関わらず、ベッドが二つもあり、テレビやPC等も完備されている。

 たしかに、さっきの客室と比べて見ると、割と一般的な部屋に見える。

 だが、「質素」という表現は、明らかに矛盾していると言えよう。

 とりあえず、壁に貼ってある大きなイチゴのポスターは、目に付いて仕方が無い。



 「あの・・・ベッドが二つしか無いんですけど、鮎川さんは、どこで寝るんですか?」



 一応、その「質素」というのを否定してから、みな実が言った。



 「私は、床にお布団を敷いて眠るので、ご心配して下さらなくても、大丈夫ですよ」



 どうも、と一礼すると、にこりと微笑んだので、二人はびっくりした。

 この人が、そんな人間的な笑顔を見せるとは、思わなかったからだ。

 しかし、すぐに元の機械的な表情に戻り、言葉を続けた。



 「では、これからお夕食ですので、食堂へ向かいましょう。 奥様が、もう一度、

  詳しい話をして下さいます。 着替えてきますので、少々お待ち下さい」



 鮎川は、バスルームに戻ろうとして、一度振り返った。



 「時間が掛かってしまいましたが、その後は、ちゃんと大浴場の方にもご案内しますね」



 そう言って、彼女は、浴室の方へ消えた。

 残った二人は、特にする事も無かったので、漫画談議の続きを始めた。





</FONT></DIV>
メンテ
ファイルNo.21
日時: 2005/04/15 00:54
BGMファイル:bgm/music2.mid [スタート=10/エンド=] [フォントカラー/背景色:/]














Coming Soon!!









メンテ

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