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作品タイトル:DARK NESS LIGHT
日時: 2005/03/26 16:30
名前: ドリック  [フォントカラー/背景色:/]
背景画像: shizen-9.gif

<bgsound src="http://www.comi-roll.up-jp.com/user-dir/58/natsunokoe.mid" autostart="true" hidden="true">


よくよく考えてみたら推理小説が好き、好きと言っているにも関わらず一作品も仕上げた事が無い事に気付きました。
要するに途中で「無理じゃ〜」という状態になって投げ出してばかりという事です。
その原因は「見切り発車」こいつですね。
小説の中で一番筋を通して書くべきのこのジャンルでそんな事をしているわけです。
しかし今回は断言します!

<B><font size=4>「何が何でも完結させます!」</B><font>

・・・いや大丈夫かなこんなこと言って・・・。
いえいえ、やりますとも、ええ!


まあ、そんな意気込みで始めたこの作品。
温か〜い目で見ていただけるとありがたいです。



【作品の紹介】
正直題名と関わりのある内容になるかどうかはまだ自分でも分かりません。
ただ、和訳した意味に強く引かれてしまいまして・・・。
今のところは事件という形で暗闇を起こして、最終的に事件解決で光を出現させられたらな〜、と思っています。
どれだけ出来るか分かりませんが、温か〜い目で見ていただけるよう重ね〃お願い致します。

楽曲提供:Happy Blessing
メンテ
Page: [1]

ファイルNo.1
日時:
BGMファイル:http://www.comi-roll.up-jp.com/user-dir/58/itsumonomachide.mid [スタート=1/エンド=5000] [フォントカラー/背景色:/]
背景画像: http://www.comi-roll.up-jp.com/user-dir/58/13.jpg

<B><font size=4>「どういう事なんですか先生!」</B></font>


<font size=3 color=black>年</font><font>に一度の恒例行事となりつつある叫び声が今年もまた事務所内に響き渡った。</font>


<B><font size=4>「僕が上京してきて早5年!」</B></font>


<font>私は加賀美 恭介、29歳。

都内にある聖イエズス大学という所に、助教授という立場で勤めている。

この大学は来日したイエズス会士が開いた寺子屋の流れを継いで

一人の富豪が開いたとか何とか言われている。

設立の歴史さえもあやふやなぐらいの学校なので

校風は非常に自由でとても居心地が良い。</font>


<B><font size=4>「あんなにやる気マンマンで来たのに、雇ってもらった先生が

一件も事件を解いて無いってどういう事ですか!?」</B></font>


<font>元々私は九州の方の生まれで、名探偵と名高い父親と祖父をもっている。

その父からの流れで助教授をしながら副業として探偵事務所を

開いているのだが、どうせ副業だからという事で

お気楽にやっているので、ほとんど事件はやって来ない。</font>


<B><font size=4>「先生はやる気が無さすぎるんですよ! ただでさえ事務所に

いる時間が短いっていうのに、いる時にお客が来たら


「ここは適当だからやめた方が良いですよ」


って何なんですかそれは!」</B></font>


<font>紹介するのがだいぶ遅くなったがさっきから叫んでいるのは

須磨 一郎、20歳。

名前こそ爽やかボーイという感じだが、実際の所かなり丸い、そして小さい。

金持ちのマダムの所に連れていったら「可愛い子豚ちゃん」とか言われて

可愛がられるんではなかろうかというのが第一印象だった。

5年前に私の事務所に来て「弟子入りさせて下さい!」というのでそれ以来

助手として・・・というより家政夫のような役割で手伝ってもらっている。

そして年に一度はこうやって真面目に仕事をしろと怒ってくる。

それはいつも今日みたいに暑い日だった。

多分あの体系から見るに、人一倍暑さにはイライラしているのだろう。


「いやあ、何度も言うようにこれは副業だから、ね♪」

「ね♪ じゃ無いですよ! じゃあ僕がいる意味は何なんですか?」

「良いじゃないか、この不景気な時代にこうやって幸せに暮らせてるんだから」

「別に僕は楽する為に田舎から出てきたわけじゃありません!探偵って仕事は


「世の中の困ってる人、助ける仕事なんだ」


って爺ちゃんが言うから出てきたんですよ?」

「それならその願いは叶っている」

「え?」

「現に君がいて、僕は助かってるよ」

「意味が違います!」


そう叫びながら須磨は机を叩き、部屋の中を苛立たしげにウロウロし始めた。

これまた毎年の光景なのだが、この姿を見るとどうも檻の中を歩き回っている

ライオン・・・まあ見た目にはライオンじゃないが、とにかくそう見えてくる。


「よし分かった! 明後日から出かけよう」

「事件の依頼なんですか?」

「ああ、隠していたがある生徒からその類いの頼まれ事を引き受けてるんだよ」

「そんな事言ってまたウソじゃないでしょうね? 去年は結局九州の

実家に連れていかれたけですし、その前は・・・」


実際の所今回も生徒の結婚式に招かれているだけなのだ。

だがこうイライラしている時は旅行にでも行って気分転換するに限る。

私はそういう思想の人間なので、とりあえず今年も須磨を

騙して出かける事にしたのだ。


「大丈夫だ。なにせ今度の舞台は離島だぞ、離島」

「離島!?」


「離島」という言葉に須磨が思い通り食いついてきた。


「そうだ、離島だ。その生徒が自分の生まれた島で

結婚式を挙げるんだがな、それに招かれたんだよ」


うん、我ながら上手く言葉が選べた。

「その類いと言ってるのは結婚式なんて事件と同じくらい面倒くさいって意味だ」

とでも後で言えば最低でも嘘にはならない。

事件が起こるなんて一言も言ってないからな。

と、私が腹黒いことを考えている事も知らずに須磨は早くも

ウキウキしながら出かける準備を始めていた。


「離島♪ 結婚式♪ 身内の問題♪ 叔父さんとか叔母さんとか

いっぱい来るから人が集まりますよ〜♪」


私には何が楽しいのかよく分からないが須磨にとってみれば相当なものらしい。

最低でも人の道を外れたような望みを持っていなければ良いのだが・・・。



楽曲提供:Happy Blessing
背景画像:背景素材店</font>
メンテ
ファイルNo.2
日時:
BGMファイル:http://www.comi-roll.up-jp.com/user-dir/58/natsunokoe.mid [スタート=1/エンド=] [フォントカラー/背景色:/]
背景画像: shizen-9.gif

<BGSOUND SRC="http://www.comi-roll.up-jp.com/user-dir/58/SeaE11.wav" LOOP="4">
<font size=4><B>「暑っ!」</B></font>


<font>船から島に降り立ったとたんに須磨がそう叫ぶ。


「でも事務所も暑かったじゃないか」

「そうですけどこの暑さは普通じゃ無いですよ」


須磨の言う通り確かに暑い・・・。

この島はとりあえず都内にあるのだが、この暑さはとてもそうは思えない。

冷房が効いている船の中から見れば、濃い緑に覆われた山とキラキラ光る美しい海がある素晴ら

しい島に見えたのだが、実際降りてみると辛いものだ。


「・・・で、今からどこにいくんですか?」

「ん・・・とりあえず彼女の家に行くんだが」

「え? 生徒さんって女性だったんですか?」

「あら? 言ってなかったっけ?」

「はい」

「じゃあ、そういう事だ・・・と・・・地図はどこに入れたっけな・・・」


私がカバンをゴソゴソやっていると、ふいに後ろから声をかけられた。


「ようこそいらっしゃいました、加賀美先生」


後ろを振り向くとそこには物凄い美人がっ!!

・・・とかわざとらしく言ってみたが、彼女こそが今日、私達を招いてくれた島本 真須美さん。

現在4年生で、卒業した後はこの島で暮らす事にするらしい。

彼女とは入学時からの付き合いで、一番熱心に授業を受けてくれていたんじゃないだろうか。

容姿は黒髪がよく似合う和風な美人で、同じ年頃のチャラチャラした輩とは一段も二段も違う

雰囲気が漂っている。

性格もまさに外見にピッタリで、正直彼女の旦那さんがうらやましい。


「あ、わざわざ港まで来てくれるとは・・・」

「当然ですよ、こっちこそ遠い所からわざわざ来ていただいてるんですから」


そう言って彼女は目を細めて微笑んだ。

クハーッ! 美しい!

今から結婚するんでなければすぐにでも口説いてるところだ。

・・・ん? なら何で出会った時に声かけとかなかったんだ?

あの時は彼女がいたか・・・? いや、生まれてこの方、彼女なんて出来た事・・・。


「どうも、こんにちは。僕は加賀美先生の助手で須磨と言います」

「ようこそいらっしゃいました。私は島本です」


私が過去を振り返っていると、人が紹介するのも待たずに須磨が会話を始めていた。

全く美人と話してデレデレして・・・。

あの感じだと結婚するのは彼女だって知らないな・・・。


「それじゃあ、行きましょうか」

「はい」
















彼女の家は六合目ほどの場所に建っていて、港から歩いて大体25〜30分くらいらしい。

決して傾斜が急なわけじゃないのだが、この暑さだ。

5分ほどで汗だくになり、九割方上り終えた時にはかなり疲れていた。


「もう少しですからね、頑張って下さい」

「は・・・はい・・・」

「・・・」


須磨など、もう返事する気力すら失ってしまったらしい。

その時ふと水の流れる音が耳に入ってきた。


「おや・・・近くに川でもあるんですか?」

「ええ、この右手の方に一本。海に負けないぐらい綺麗なんですよ。そうだ、大きな滝も

ありますし、後で行ってみますか?」

「え・・・でも今日は島本さん忙しいんじゃ?」

「いえいえ、どうせ手伝おうとしても

「主役のあんたは夜まで大人しくしてなさい」

って言われるだけですから」

「そういうもんなんですか」

「はい」


そんな話をしていると家に着いたらしく、左手に古和風な建物が見えてきた。


「あっ、あれがそうです。ほんとにお疲れ様でした」


近づいて見てみると、家は思ったよりも大きかった。

屋根一面に黒瓦が敷き詰められており、古さを感じさせる土壁とよく合っている。

今まで来た道も同じで、家の後ろにも木が生い茂っている。

おそらく向こうにも森があるのだろう。

入り口の所では一人の女性が採ってきたばかりと思われる野菜を洗っている。


「母さん、先生お連れしたわよ!」


真須美さんがそう呼びかけると、女性は立ち上がり、軽く頭を下げた後、割烹着の前で手を拭き

ながらこちらに歩いてきた。


「あらあら、こんな遠い所までようこそ。私は真須美の母で真奈美と申します」


真奈美さんは大学生の母親だから最低でも40は超えているのだろうが、それを感じさせないほ

ど美しい。

外見は真須美さんと似ているが、声や顔の感じなどから彼女よりも明るい雰囲気を漂わせている。

島に長いのかは知らないが、手拭いで髪をまとめた割烹着姿がとてもよく似合っている。


「私は加賀美恭介、こっちは助手の須磨一郎です。今回はお招き頂き本当にありがとうございます」

「いえいえ、こちらこそ。さ、中にお入りになって下さい」


私達は彼女に促され、家の中に入った。


「じゃ真須美、母さんまだ仕事があるから、部屋までご案内して差し上げてね」

「はい。じゃあお二人とも、こちらにどうぞ」


私達が通された部屋は、玄関から少し離れた場所にある広い和室だった。

まあ、あの外観の家に洋室があるとは思えないが。


「今からどうされますか? さっき母が用意してたのが昼食だと思いますからまだ時間がかか

ると思いますけど・・・」


そうか、まだ昼前か。

・・・午前でこんなに暑くて午後はどうなるんだホントに・・・。

須磨なんか文字通り、生きて帰れないんじゃないか?


「そうですか・・・それならこの辺りを案内してもらっても良いですか?」

「この辺り・・・と言っても特に何も無いんですよねえ・・・」

「さっき言ってた川行きましょうよ、川!」


須磨が冷たさを求めて必死に川行きをアピールしてきた。


「そういえばそういう話してましたね。良いですか先生?」

「ええ、私も行きたいと思ってましたから」

「それならそうしましょうか。じゃあ先に外で待ってて下さい。私、少し用事がありますから」


そう言ってから彼女は部屋から出て行き、私達も言われた通りに外で待つことにした。



楽曲提供:Happy Blessing
メンテ
ファイルNo.3
日時:
BGMファイル:http://www.comi-roll.up-jp.com/user-dir/58/taki.wav [スタート=160/エンド=] [フォントカラー/背景色:/]
背景画像: shizen-4.gif

<font>「すいません、お待たせしました!」


私達が外に出て待つ事5分、待たせているのを気にしていたのだろうか真須美さんが慌てて飛び出してきた。


「いえいえ,30秒も経ってませんよ」


いまだ現実(彼女が結婚)に気付かないでいる須磨のセリフを聞いた後、

私達は真須美さんに従って歩き出した。


「この川はそれだけでも綺麗なんですが、上流の滝と合わせて見るともっと凄いんですよ。

そっちの方が近いですし、今日は滝に行ってみますか?」

「島本さんがそう言うのなら、そうしましょうか」

「ところでそこ泳げますか?」


泳ぐ気かよこいつは・・・。


しばらく歩いてると木に隠れてはいるが、目的地であろう滝が見えてきた。

すると真須美さんがそっちを指差し、滝についての説明を始めた。


「ここからだと木の陰で少し見にくいかもしれませんが、あれが目的地の清流の滝です」

「滝なのに清流って言うんですか?」

「はい。滝の裏側に洞窟があって、そこの奥が静かな湖みたいになってるんですよ。

まあそこは暗くて危ないので行かない方が良いんですけどね。あっ、そこの階段を降ります」


木製の手すりがついてはいるが、一段の幅がかなり狭く、とても危なっかしい階段を私達は降りていった。


「すみませんね、上の方に行けばもっと良い階段があるんですけど歩くのが大変でしょうからこっちを選びました」

「とんでもない! こっちを選んでくれて大助かりですよ!」


将来、苦労するのを避ける為に死にそうで怖いな・・・。

しかし、須磨の将来を心配したのもつかの間、私は目の前の美しさに唖然としていた。

滝は大規模なものではないため迫力は無いが、光を浴びながらキラキラと

落ちてくる水の粒はそんな事は全く気にさせなかった。

いや、むしろゴウゴウとうるさく流れている方がこの情景にはふさわしくないだろう。

流れ落ちた水は下にある大きな穴、つまり滝壷にいったん溜まった後、川へと流れ込んでいる。

この深さだと誤って上から落ちても、そうそう死ぬ事は無さそうだ。


「どうですか? 綺麗でしょう?」

「ええ、この暑さによく合う風景ですよね・・・」


しばらくの間私達は街中では味わえない自然を楽しんだ。

唯一その雰囲気が途切れたといえば、途中で本当に須磨が飛び込もうとした時ぐらいだろうか。

「せめて顔洗うぐらいにしとけ」と言って何とか引き止めた。


「それじゃあそろそろ帰りましょうか。母も昼食作り終えたと思いますし」

「そうですね」


そう言って私達が階段を上ろうとした時、洞窟の中から一人の男性が現れた。


「あら、正雄おじさん、そんな所で何を?」


男は、真須美さんにそう言われるとビクッと体をこわばらせてこっちを見た。

・・・これは私の思い込みかもしれないが、こちらを見たその眼からは何か殺気のようなものを感じる。

しかし男の表情はすぐに緩み、ズボンの後ろポケットに何かを押し込みながらこちらに歩いてきた。


「ああ、真須美ちゃんか。そちらの方々は?」

「この方は私が通ってる大学の先生で加賀美さん、こちらは助手の須磨さんです」

「初めまして、僕は真須美ちゃんの母親の兄・・・つまり叔父にあたる者で、正雄と言います」


私と須磨も「初めまして」と言いながら握手を交わし、4人で家に向かった。


「先ほどは何をなされてたんですか?」

「ああ、洞窟でですか? 写真を撮ってたんですよ。

島の人は「呪いの洞窟だ」とか言ってますが本当はあの中とっても静かで良い所なんです。

こういう風に暑い日にあの中でゆっくり過ごすのが好きでして」

「ほぉ・・・」


須磨が正雄さんの言葉に感心している・・・ように見える。

だがこいつが行ったらそんな素晴らしい空間も一気に崩れるんだろうな・・・。



メンテ
ファイルNo.4
日時:
BGMファイル:http://www.comi-roll.up-jp.com/user-dir/58/itsumonomachide.mid [スタート=675/エンド=5000] [フォントカラー/背景色:/]
背景画像: bak16.gif


<font>私達が着いた時、家の中はさっきよりバタバタとしていた。

おそらく真奈美さんが食事の用意で走り回っているのだろう。

正雄さんは「一度部屋に戻る」と言って別れ、私達は真須美さんに案内されて、大きな和室の奥側に座った。

須磨の隣(上座と思われる)には、整えられた白髪交じりの着物を着けた老人が座っていた。


「じゃあ私は母を手伝ってきますのでここで待ってて下さいね」


そう言って真須美さんは部屋から出ていった。

すると部屋の中には今までと一変した空気が流れ始める。

重たい・・・とにかく重たい、そして怖い。

おそらく二つ隣の老人のせいだろう。

老人とは言ってもヨボヨボな感じではなく、体中から「威厳」という字が発散されている。

口元には立派な髭がたくわえられており、いかにも日本刀を持って竹を切るのを日課にしてそうだ。


「君達が・・・」


重い沈黙を破って老人が話しかけてきた。

声を裏返して「ハイッ!」と言いそうなのをグッと押さえて彼の方を向く。


「真須美の先生か?」

「はい・・・そうです」


何を言われたわけじゃないのに私は父親に怒られる子供のような気分でそう答えた。


「そうか、わしの事はもう真須美から聞いておるかな?」

「いえ・・・まだです」

「フム、なら名乗っておこう・・・しかし!」


「来るっ!」私はそう直感した。

これはあくまで私の勝手な印象による想像で、何が来るのかも自分でよく分かってない。

現に、次に出てきた言葉は意表を突くものだった。


「話す時にそうビクビクするのはやめてもらえんか? こっちが話しにくくてかなわんわい」

「そうですよ先生、そんな態度じゃ失礼ですよ」

「・・・それが今まで一言も喋らなかった奴の言う台詞か!」

「ホッホ、なかなか面白い先生方じゃ。わしは真須美の祖父で源蔵、今日はよく来てくれなさった」


今までの厳格な顔つきから一変して源蔵さんの表情は優しい・・・

とは言えないものの、さっきより安心できるものになった。

多分今までとの落差でよけいにそう感じたのだろう。


「それは、どうもどうも・・・」

「じゃからビクビクせんで良いと言うたじゃろうが。気楽に話してくれて構わん」

「なら遠慮無く♪」

「おい!」

「いやいや、こちらの先生が正しいぞ。君もそうしてくれ」

「いや、僕は先生じゃないんですよ」

「ほう、君は違うのか?」

「はい、僕はこちらの先生の助手をやってるものです」

「そうか、そうか。間違えて悪かったな」

「いえいえ」


須磨の作った流れのおかげで、ようやく私も源蔵さんに自己紹介をする事が出来た。


「それじゃ先生、今からの昼食、ゆっくり楽しんでおくれ」

「はい」


源蔵さんとの話を終えてから、すぐ食事が部屋に運ばれてきた。

それと同時に人もゾロゾロと入ってきた。

皆、私達の事は真須美さんか、真奈美さんから聞いていたのだろう。

「誰だ?」という怪訝そうに見る人はいなかった。


「人が多くなるんで暑苦しくなるかもしれませんね。隣、良いですか?」


そう言いながら私の隣に来たのは正雄さんだった。


「ええ、どうぞ」

「では失礼して・・・」


正雄さんは隣に座り、来た人の紹介を、私達に始めた。


「須磨さんの隣にいるのが、僕の親父で、この家の主人の源蔵です。

僕が来る前から一緒だったみたいですけど話しましたか?」

「ええ、見かけによらず気さくなお方で」

「でもそれは他人の前だけで、家族には、特に子供の僕と真奈美には相当厳しいんですよ。

まあ本性がどっちなのかはよく分からないんですけどね。

で、須磨さんの向かいにいるのが真奈美の旦那の孝一さん」


そう言われて私は孝一さんの方を向いた。

な・・・何かが違う・・・何だこれは・・・。


「本当に真奈美さんの旦那さんなんですか?」

「タイプが違うから驚いたでしょう? でもそうなんですよ」


正雄さんが「タイプが違う」と言った通り、真奈美さんが陽だとしたら、孝一さんは完璧に陰だ。

失礼なのは分かっているが、小さい頃から部屋の隅っこで

ウジウジしながら育ったのじゃないかと思わずにはいられない。


「で、その隣が僕の妻の啓子、そしてそのまた隣が娘の杏奈です」

「え? 正雄さんは一緒に座らなくて良いんですか?」

「いやあ、どうも妻と娘からのけ者にされちゃっててねえ・・・。最近なんか

「娘が大きくなったから別居しようかしら」

とか言ってるよ。ハハ・・・」

「ハ・・・ハハ・・・」


笑えないですよそんな話・・・。

でも啓子さんは見るからにそんな事を言い出すほど気が強そうだ。

有名人に例えるならば、セリーグの元万年最下位チームの監督夫人みたいな感じだ。

もちろん島に住んでいるので派手な装飾とかは着けていないが。

娘の杏奈さんの方はというと・・・うわあ・・・こりゃまた露出が多い服を・・・。

この暑さじゃそんな服を着たくなるのは分かるけど、

この家の雰囲気にはお世辞でも合っているとは言えない。

だけど元気が良さそうな浅黒い肌と、啓子さんと話している様子を見ていると、

あの格好が不自然なんじゃなくて、彼女が街にいないのが不自然なんだと思えてくる。


「杏奈の隣にいるのが真須美ちゃんの旦那さんになる修一郎くん。

その隣の空席は真須美ちゃんで、僕の二つ隣が真奈美の席だね」

「真奈美さんはどうして皆と少し外れた所に?」

「多分、食事中にも何回か台所に立つからだと思うけど」

「大変ですねえ、大きい家の女性は・・・。じゃあ紹介は修一郎さんで終わりってことで良いんですか?」

「ん・・・うん」


修一郎さんは典型的な爽やか系の二枚目だった。

今は特に何も無いので無表情に近いが、多分笑ったら物凄く良い笑顔なんだろう。

あの顔なら、真須美さんが結婚する気になったのも納得がいく。

それにあの真須美さんが選んだ男なんだから性格も問題無いのだろう。

私が顔を見ながらそんな事を考えていたら、彼も視線に気付いたのだろう。

こっちを向いて笑顔で一礼した。

ムゥ・・・やはり思った通りの結果だ・・・。



メンテ

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